されどたかが野球(四)

星野仙一監督からタイガース監督のバトンを受け継いで二年目のシーズン、岡田彰布監督は終盤一度も首位を明け渡す事なく見事、セ・リーグ優勝を勝ち取った。しかしロッテとの日本シリーズは一勝することもなく完敗した。2005.10.3記

岡田彰布、阪神監督就任2年目の2005年シーズン、見事リーグ優勝!

 オカダはん阪神がリーグ優勝しました。あたしが、今年は優勝や!つうのを「酒場板」で表明したのが7月10日。一般の虎ファンよりはずいぶん慎重だったワケですが、それでもその後中日に再三猛追されたりもしました。しかしま、結局は一度も首位を明け渡すことなくゴールインしてしまいましたな。オールドファンにとっては、やはり「生え抜き」の監督や選手に拍手を送りたくなるのが人情。「ある意味」(←オカダはんの口癖)今回の優勝が、一昨年の星野阪神とはまた違った感慨を与えてくれているように感じるのは、「そら、そうよ。」(笑) しかしこの野球がオモロイかどうかというのはまた別でんな。今シーズンはきっとドラファンのほうが面白かったに違いない。

 当時当欄にも書きましたが、一昨年の星野阪神は、前半、まさに「神懸り」の劇的逆転勝利がてんこ盛りにありました。「なんやわからんけど、また勝っとる!」という怒濤のイケイケ勝利が続き、俗に言う、死のロードあたりからはメロメロになりましたが、その後の天王山を運良くクリアしたので、あとはニュートラルギアでも惰性で優勝まで走ってゆきました。後半萎んだとは言うものの、この前半は抜群にオモロかった。今年、その「神懸り」の趣を醸し出したのはむしろ中日です。普通、ああいう連勝が続くと、どこかでプチッと切れて大連敗するもんですが、それがなかなか来なかった。惜しむらくは交流戦での大幅負け越しでしたが、あれ、やはり落合オレ竜の「セコデータ目一杯使い野球」の反動ではなかったかと思われます。対セとパの勝率の差があれほどに大きくなるのは尋常ではありません。昨年アッサリ日本シリーズで敗退したのも頷けますな。

強いチームの野球では、劇的な試合は「負け」の結果になることが多い

 今年の阪神、確かに戦力が充実しました。盤石の投手陣。厚い控え選手層と代打のコマ。5回以降の継投が計算できるということは、極端に言えば、毎回投手のところで主力級の代打を送れるということですから、得点の可能性も高くなります。名球会投手解説者は「先発はやはり完投してナンボ」と曰いますが、先発が五回押えてあとの四回を左、右上手に使い分けて押えきり、野手の代打をじゃんじゃん使ったほうが、「勝つ」ことには近い。球場に足を運んだ客は選手がいっぱい見られてモトも採れる。押えの久保田なんぞも、まだ若いから別に4点差で上がってセーブ付かんでもモンクも言いまへんしね。そんでもってその中継ぎのコマが十分すぎるほど働いた。代打の方はイマイチ目立った結果を出せませんでしたがね。

 これはもう「強いチーム」の野球ですわ。そのかわり、劇的勝利のドラマは少なくなります。なにせ、普通にやってたら勝つんですから、劇的なのは「負け」の結果になることが多いんですな。オールド虎ファンはここのところを肝に銘じなければいけません。阪神が強くなれば、感動するほどオモシロイ勝ち、というゲームの数は結果的に減少するということです。かつて村山がマウンドでひっくりかえって泣いた、あの「天覧試合」は、強い巨人の勝ち、だったんですぞ。劇的な結末の試合で痛快なのは、強いチームに勝ったときなんでありまして、今の阪神は、もはやかつての巨人の立場になっちまったワケです。これはオモロないんです。

 常勝オカダ阪神は危険を孕んでいます。なにがなんでも勝てば官軍、という野球が面白くないのを一番分かっているのは阪神ファンでしょう。あんまり強い、強いといって喜ぶのは巨人ファンみたいで、みっともない。だから、久保田はエライ! 阪神のゲームのオモシロさを維持する点で、今年一番働いたのが久保田クンです。来年も今年みたいな調子で、いまいち信頼の置けないクローザーを演じ、強い阪神の試合の面白さ作りに貢献して貰いたいと切に願います。