牛丼がメニューから消えた。

 「肉ギレ」の騒ぎから10日以上経ったので、そろそろ落ち着きだした頃合いと見て、近所の「吉野家」を覗いてみた。近所には「なか卯」もある。どちらかといえばこちらの「豚丼」のほうを試してみたいのだが、店があたしの動線から外れているので、この次にして、最大手のほうの様子を伺う。給与所得者の昼メシどきは避けて、いわゆる午後いち、という時間帯に訪れてみた。午後いちとはいえ、遅めの昼食をとる人で店内はほぼ満席に近い混み具合なのだが、心なしかいつもの活気がない。店員もオドオドしていて、客もおとなしい。「つゆだく!」とか言えないからなのか。なんだかずいぶんもの静かである。牛丼の無い牛丼屋のうら侘しさが滲み出た感じの店内であった。

 さて、牛丼がメニューから消えた最大手牛丼屋は、暫定主力商品に「カレー丼」を起用した。並盛・350円である。他に「マーボー丼・380円」、「豚キムチ丼/いくら鮭丼/焼鶏丼・450円」がある。納豆や焼魚の定食も健在だが、あれ、焼魚というよりは「湯もどし魚」なんで、食べる気にならない。丼の新ラインナップにも、どうもいまいち魅力を感じない。だいたいがウチの近所には、再三の不祥事で顰蹙を買い続けている雑巾屋の本社があり、そこが展開している「丼」もののチェーン店が古くからあるので、今回の新メニューも新鮮には感じないのだ。ま、今まで280円で済んでいた食事が450円になってしまうことが腹立たしいので、意地でも喰わないというのが本音だが。

 今回は「さぐり」なので、とりあえず暫定主力商品のカレー丼並盛・350円を試してみることにする。あたしは吉野家では牛丼並盛+生卵330円というのが定番だったのだが、カレー丼となるとなんとなく味噌汁が欲しい。味も試さずに、いきなりカレーに「ギョク」投入は不安である。てなもんで、カレー丼並盛+味噌汁 400円也で試食してみることにした。

レンゲでカレーを喰う不思議。

 さて出てきた「カレー丼」。牛丼と違うところは、青いトレーに乗って、レンゲとお冷がついて出てきた。このトレーの起用だが、レンゲ使用でカレーをこぼす輩が多いのか、それとも冷水、レンゲとセットで出すための運搬の手間を考慮したものなのかは定かでないが、やや違和感を感じた。今回は試しなので、唐辛子も醤油も使わずに食べてみたが、う〜ん、「うまぐね」(東北調)。ルーの味にこれといった特長がないうえ、御飯との馴染みが悪く層が別れてしまっている。牛丼ではあのぐらいの炊き方で良かったけれど、カレーと白飯を馴染ませるには、飯をもう少し固めに炊くようにして粒の間に隙間を作るべきだと思うが。

 トッピング無しでは、あまりにも味気ないので、こりゃ「紅生姜」を大量投入して喰おうと、薬味入れのフタをとったら、なんとご丁寧に「福神漬」に変わっているではないか。紅生姜納入会社は大丈夫なのか?はともかく、がっかりした。この淡泊なカレーに、「甘い」福神漬ではどうしようもない。牛丼用の紅生姜のほうが、酢の酸味と生姜の辛味で、薬味としての効果がでるのに。折角だから福神漬を大量投入させていただいたが、これは唐辛子の力を借りて味を付けるしかないなあ。

 舌打ちしながら食べていたが、どうも、肩がつっぱって食べにくいのである。原因はレンゲだ。確かにカレー丼は箸では食べにくい。が、普通、レンゲを使用して食べる丼といえば、「中華丼」や「天津飯」などで、これは容器が深めの「皿」であって、いわゆる和風の「ドンブリ」ではない。底が深く間口の小さい「牛丼用」丼をレンゲで食べるのは、かなりムリがあるのである。まず差し込むときに肘を高くあげなければならない。差し込む角度も急になる。これを掬い上げようとすると、タテに45度以上回転させることになり腕の動きが大きくなる。また丼の口径が小さく、レンゲを移動できるスペースが少ないので、うまく掬えないのである。それなのに、添えられているレンゲはかなり大きめのサイズで、尚更食べにくくしているのである。美味くないばかりか、イラつかせてどうする。

 いかにも「暫定」のいいかげんさが表れた商品であった。「カレー丼」で市民権を得たいのなら、まずレンゲをもうすこし小振りのものに変える必要がある。または、牛丼用ドンブリの流用を断念し、口径の大きな新しい器を用意すべきである。そして価格を牛丼の 280円にまで引き下げること。でないとあたしは「牛丼復活」の日まで、店の前を通り過ぎるだけの客とならざるを得ない…てな感じですが、皆さんはいかがお考えで。



吉野家の牛カレー丼

2004年、米国産牛肉のBSE問題で輸入がストップした。手持ちのストックで営業を続けていた吉野家もついに在庫が切れ、牛丼は販売中止。次々と代替商品が開発されて販売されたが…