南紀白浜磯採集ツアー

2004年7月23日更新のトップページコラム「ぼやコラ」ログより転記。この時の採集と水槽の記事は「ヤドカリと磯の生き物の飼育21話:南紀白浜の無脊椎なイキモノたち」に記載。

さすがに南紀白浜の磯はイキモノが濃いこと!

ハリセンボン
▲恨めしそうな顔でこっち見るなよハリセンボン

 報告が遅くなってしまいましたが、先の三連休中日の18日、プアマリナさん主宰の「やど研関西支部・南紀白浜採集ツアー」を覗いてまいりましたよ。偏屈酒場常連の赤海鼠磯吉さんのオクルマに乗せていただきましてね。赤海鼠さん運転お疲れさまでした。自動車専用道路が白浜の45km手前あたりまで延びたこともあって、ひと昔前にくらべれば楽な道中になったというものの、やはり夏休み直前の三連休は、ユルくありません。行きは朝5時半発ちを敢行したので、大阪から3時間少々で到着しましたが、帰りは早々の16時過ぎに出発したのに、9時間余りもかかってしまいましたわい。ま、覚悟はしておりましたが。

 ここ数年、黒潮が蛇行して紀伊半島に接近していることもあるのでしょうか、さすがに南紀白浜の磯は濃いですな。明石や淡路島、丹後半島の海水浴場とは、生き物の密度が違います。潮が退いてゆくと、そこらじゅうウニとヤドカリだらけで足の踏み場もありません。ホンヤドカリなんかは、まるで砂利取りのように、ひと掬いで100匹は採れてしまいます。潮溜りにはカゴカキダイの幼魚など、小さな魚がちょろちょろしておりましたが、あたしのテクニックでは網に入れることはおぼつきません。もっぱら、動きの鈍いもの中心に観察しておりました。

 潮溜りを順番に覗いて回りますと、不思議なもんで、同じ種類の生物がかたまっていることが多いんですな。潮が満ちれば、ひとつの海になっちまうというのにねえ。とくにヤマトホンヤドカリは、ある一ヶ所の潮溜りだけでしか発見できませんでした。また生き物が「濃い」ということは、ヤバイやつらも結構いるわけで、10cmくらいのカサゴようの魚を掬いましたが、どうも背ビレと胸ビレの先っぽがコワモテでして、触って痛い目にあうのもイヤなんで、しばらくバケツで観察した後リリースしてやりました。そうこうしているうちに赤海鼠さんが20cmほどもあるハリセンボンをタモ網で掬ってきました。なんか砂漠戦用の迷彩塗色のうえ、大きな目がクルクル動いて愛嬌のある奴でしたんで、こちらは写真を撮ってじっくり観察してから、リリースしてやりました。ウニはムラサキウニ系が山盛りいますが、まれに旨そうなバフンウニも発見しました。コワモテのガンガゼも一個体見かけました。

イキナリ、デスクボーイには苦しい大所帯に。

 プアマリナさんにご教示を仰ぎながらでしたので、海のシロートのあたしにも勉強になり愉しめましたわ。今回、越冬オカヤドカリには残念ながらお目にかかれませんでしたが、目的をそれに絞って探索すれば発見の可能性は大いにある、と見ました。しかし灼熱の磯風に吹かれてオッサンの体力は風前の灯。へろへろです。もっとカラダを鍛えにゃ海には行けませんな。ウチの海水デスクボーイ水槽先住人のユビナガホンヤドカリが、弱って死んだりカニに食べられたりして減ってしまったので、若干余裕ができたこともあり、少し採集して持ち帰ることにしたんですが、帰りは大渋滞が予想されるので、道中の長丁場でクタバル個体が大量にでるものと読んで、気持ち数を多めにしたのが仇。さすが、黒潮育ちは違いますな。明石のユビナガなどは2時間の道中でも半数くらいダウンしてしまうんですが、今回は全個体ピンピンのまま家に帰り着きよりました。さあ、困った。小さなデスクボーイには苦しい大所帯です。

ゼブラガニ
▲けったいな意匠のゼブラガニと肉食巻貝のイボニシ

 とりあえず水槽に移して5日ほど経過しましたが、食欲もすごい。一緒に餌用に持ち帰った褐藻類が、はや食い尽くされて姿形も無くなりました。あわてて生ワカメを投入するも、これが一日ももたず。弱っていた先住のユビナガなどは、イボニシに貝殻の入り口から首を突っ込まれて、あわれ喰われてしまったりしております。エアコン室外機前の巣で孵ったハトの雛のおかげで冷房が使えず、現在水温32℃。う〜ん酷い環境。ですが、水槽の前には大汗を垂らしながら自然淘汰の進行を心待ちにしている悪魔のようなあたしがいるのであります。

 水槽の詳細は後日アクアリウムコーナーの「ヤドカリと磯の生き物」に載せるつもりですが、例のごとく更新がいつになることやらわからないので、ここに簡単に書いておきましょうか、ということで…今回増えた住人は、ヤマトホンヤドカリ、イソヨコバサミ、ホンヤドカリ、イソクズガニ(の仲間?)、ケブカガニ(の仲間?)、種名未確認のけったいな縞意匠のカニ(後注:ゼブラガニ)。クボガイ、イボニシ、イシダタミガイ、アマオブネガイなどの巻貝のほか、スジエビの幼体など。サカナ系は飼育できる環境を保てないので、すべてリリースしてきました。それに先住のユビナガホンヤドカリとイシダタミガイ、カニの忠治と仁吉の兄弟分、増殖中のリピドーゴカイたちを加えたメンバーです。白浜の海水や海藻などにも何かがくっついてきているはずなので、この先どうなることやらわかりまへん。

 ともかくも、海水水槽はイキナリ賑やかになりました。プアマリナさん、赤海鼠さん、どうもありがとうございました。またご一緒しましょう!