オカヤドカリとは?

オカヤドカリは、おもに陸上に暮らしているヤドカリの総称。分類学的には節足動物門/甲殻亜門/軟甲綱/真軟甲亜綱/十脚目/異尾下目/ヤドカリ上科/オカヤドカリ科に属する。日本では主に南西諸島、小笠原諸島などに生息。日本国内に生息しているオカヤドカリは、地域を定めず種そのものが天然記念物に指定されている。縁日やペットショップで販売されているオカヤドカリは、天然記念物指定前にペット用や釣餌用として流通していた関係から、許可を受けた一部の業者が例外的に一定量を捕獲している個体が流通。縁日などで売られている主な種は、
オカヤドカリ(Coenobita cavipes)、
ムラサキオカヤドカリ(Coenobita purpureus)、
ナキオカヤドカリ(Coenobita rugosus)の3種がほとんど。

オカヤドカリの飼育

2007.10.11記


2007年10月、京都・伏見の御香宮(ごこうのみや)祭礼に詣る。

 関西の夏もようやく終わったみたいだ。今年は夏中あたしはど〜っこも行かずにウチでじ〜っとしていた。何でか、は戎サンかお稲荷サンにでも聞いてくだされ。神さんの馬鹿野郎ぉ!…つうわけで盆も彼岸にも墓参りにすら行かずじまい。で、こないだの連休、実家の氏神さんの祭礼があったので不義理を重ねた墓参もかね、ムスメを連れてのっそり参拝に帰郷った。



▲氏神さんのお祭りに行った。にぎわう参道は屋台がずらり。

 体育の日が変動相場制になっちまったので、かつて10日間あった縁日は一週間に縮小されてしまったが、ガキの頃から親しんだ氏神さまのお祭りだ。ここは銭儲けの方担当の神さまではないので文句を言ってもしゃあないし、健康であるうちは御利益をいただいていると思ってまあいいか、だ。しかしお得意なのは安産のほうだし、こちとら厄もとっくに通過しちまったから、いまいちお願いお賽銭に気合いが入らんのはいたしかたなし。



▲参道にはテキヤ露店がズラリ

 昔同様、参道や境内にはギッシリと露天商の屋台が犇めいて、たいそうな賑わいなんであるが、ガキの頃のウキウキ感は皆無。こっちがおっさんになってるこったし仕方ないんだろうが、出し物が利益率重視で合理化されてしまったのも縁日がツマラン一因だろう。今年は見せ物小屋やお化け屋敷などの大仕掛けモノは出ていず、一昨年まで残っていたパチンコ屋台も姿を消した。射的・スマートボール・カタヌキなんかはかろうじて残っているが、おおむね悪悪いアブラを使った揚物屋などの食い物関係各種とクジ引きのテキヤばかりが席巻している。まあクジ引きの店というのは火も食物も扱わないから一番年季のいらん商売なんだろうが。



▲ハムスターが好きな里親に貰われるのを待つ、ハズレ景品の陸ヤドたち

 クジ引きカテゴリの夜店は、特賞に高価なゲーム機本体なんかを掲げてガキどもの射幸心をあおり、ハズレ景品のハリセンやブーブークッションなんかを渡してシノぐ。中間景品を思いっきり省略した仕入簡単のボロい儲けである。娘がカタヌキに勤しんでいる間、一軒のDSクジ屋をずっと見ていたけれど、20人くらい引いてアタリなし。おっさんの芸といえば、「おしい〜残ね〜ん」という顔の表情のバリエーションだけだった。300円で紙のハリセンがどんどん売れてゆく。あんなもん原価10円くらいやろう。ええ商売やなあ…やりたい。甚兵衛さん紹介してくれんかなあ(←道具屋)。



▲左ハムスター右上ミドリガメ。ハズレ陸ヤドのスタメンはプラケに待機。右の水槽はファーム組
 娘もクジを引きたそうにしていたが、紙をめくるだけ他人のボロ儲け商売に貧乏人が加担してどうする。どうせなら付加イベントのあるものにせいと、○○釣りやダーツや射的系統を勧める。なら射的をやると言うので横で見ていたが、的に当たってもなかなか落ちない。ポケットのタバコの残り本数が淋しくなっていたこともあり、あのセブンスターを狙えと指示した。タバコは軽いので落ちやすい。すると一発で命中。やるやん娘。しめしめと思っていたら、テキヤのおばはん、「お上のお達しにより子供にタバコは渡せん」やて。でもって代わりに100円の菓子をよこす。「なんでやねん!ワシが吸うねん!金出しとるのはワシや!」と抗議したがアカン。屁理屈で 320円の景品を100円にされてもうた。


おお懐かしや。昭和の夏の風物詩、オカヤドカリの屋台が!

 そうこうしていると、屋台の水槽に陸ヤドカリ発見! いわゆる動物クジである。この祭では以前からウサギやヒヨコや外来産甲虫の屋台は見かけたが、陸ヤドカリの景品は初めてだ。前甲長5mm以下のナキオカにちらちらムラサキが混ざる。しかし水槽やプラケには水もエサもなく4分の1くらいはすでにバラバラ死体になっていて、おおむねグロッギー状態だ。クジの当たりはジャンガリアンハムスターのガキとミシシッピアカミミガメのガキのようで、ナキオカは空くじなしのハズレ景品である。ミニプラケで「はい残念」と渡されている。陸ヤド愛好家としてはそのランク付けには不服だけんど、ま、憐れなあの連中の中にも、おのれの生命力と慈悲深い飼い主に恵まれて、きっと長生きする個体がいることだろう。彼らの今後の幸運を祈りつつ通りすぎた。



▲あたしが頼んだ飴は「河童」

 あたしは賽銭以外に金を遣いたくなかったので、何もせずに娘に付いて歩いていたが、飴細工のおっさんが気にかかって仕方がない。すこし離れたところに立ってずっと見ていたけれど、おっさん、サンプルも並べず、声もかけず、品名だけを羅列した小さな屋台の中に、ピン!と背筋を伸ばしてただ座っているのみだ。客は素通りするばかり。あれ、誰かが注文すれば見物の人だかりができて次の客の注文があるのだろうが、どうもそういう積極販売が流儀じゃない頑固者らしい。「よっしゃ、ここは一丁、ワシが口火を切ってやるわい」と、つかつかと屋台の前に行き、みなみらんぼう似のおっさんに飴を注文した。おっさんの手が動き出し、ハサミや面相筆を遣い始めると、現金なもんで客があたしの後ろを二重三重に取り囲む。「おっさん、恩にきろよ」と心で言いつつ、700円也を払い飴を受け取ってサッと立ち去る。数歩歩いてから振り返ると…もう屋台の前に誰も人はいなかった。やっぱ、クジかなあ。